速報
2023年12月8日 実質賃金引上げを実現しよう! 物価抑制・最賃&公務員賃金引上げこそ ≪その2≫
実質賃金引上げを実現しよう! 物価抑制・最賃&公務員賃金引上げこそ ≪その2≫
第2回(その2)は、性による賃金格差、非正規労働者からの考察
東京国家公務員・独立行政法人労働組合共闘会議 事務局長 植松隆行
実質賃金引上げを実現しよう! 物価抑制・最賃&公務員賃金引上げこそ その1.docx
「女性労働者の賃金は男性の70%」にいささか疑問 格差がもっと大きい?
過日、ある女性団体の集まりでお話しさせていただきました。その団体との学習・懇談は春闘期に続いて2度目です。参加されていた女性の多くの方々が、ジェンダー差別の問題で、経済的格差(=賃金格差)に不満と疑問を投げかけていらっしゃいました。そんな中参加されていたある女性の方が、「女性の賃金は男性の7割と報じられるが信じがたい(もっと格差があるとの意味で)」との発言がありました。
この点では内閣府の「男女共参画局」はホームページでは、「我が国の男女間賃金格差は長期的に見ると縮小傾向にあり、令和3(2021)年の男性一般労働者の給与水準を100としたときの女性一般労働者の給与水準は75.2%となっています」とあります。一般女性労働者とは正規労働者を意味しているのでしょうか?その辺はよくわかりませんが、多くのメディアもだいたい70%と報じています。この点について、私もいささか疑問があります。
私はその学習・懇談会では「正規は正規同士、非正規は非正規同士で比較すると3分の2程度です。しかし、女性労働者全体平均、男性労働者全体平均で比較すると50数パーセントです」と答えました。その根拠の詳細は次ページの表(「民間給与統計実態調査」=国税庁調)に基づきます。
女性労働者の約55%が非正規労働者
女性労働者は正規労働者が1,249万人、非正規労働者は1,432万人(53.4%)、男性は正規が2,339万人、非正規が669万人(22.2%)です。これは2022年の「労働力調査・詳細調査」(総務省統計局)の結果です。私はこれまで女性が結婚、出産を機に退職を余儀なくされ、その後は非正規労働者に追いやられるケースをたくさん見ています。賃金比較はそうした雇用・労働実態をしっかり見据え、現実に女性労働者の5割以上が非正規労働者であることから、男性労働者全体、女性労働者全体での統計で比較することが重要だと思っています。女性労働者は非正規労働者割合が50%を超え、賃金も男性の50%程度です。そうするとやはり「女性の給与水準は男性の7割」とは言い難いものがあります。
出産は女性だけにしかできない「仕事」です。出産・育児期間は労働期間としてみること、そのことによる賃金不利益は一切受けない給与・労働条件を付与すべきこと、これが大事です。また「希望すれば正社員」が当たり前の雇用制度を確立すべきです。いずれにしても労働者全体の賃金引上げは男女の賃金格差をなくすこと、非正規労働者の正規への転換が強く求められます。